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デトロイト・メタル・シティ

2008/09/06 13:26
監督:李 闘士男
出演:松山 ケンイチ 加藤 ローサ
時間:104分
2008年作品 「公式サイト」

おしゃれなポップミュージシャンを夢見て上京した根岸くん。
なのに。
ふたを開けてみればポップミュージシャンとは天と地ほどもかけ離れたデスメタルバンド「デトロイト・メタル・シティ」通称「DMC」のヴォーカルとしてデビュー。
しかもあれよあれよという間にデスメタル界のカリスマにっっ!!
揺れる根岸くんっ!! 困惑する根岸くんっっ!!
一体どう身を振ればいいのデスカあああああああっっ?!

というお話です。

原作はチラッと流し読みした程度なんですが、かなり原作に忠実ですね。
特に松山 ケンイチさん演じる根岸=クラウザーさんが恐ろしいくらいにハマってる!!
そしてあの松雪さんが90年代の彼女を彷彿とさせるようなぶちぎれた演技でデスレコーズの社長をっっ!!
あと、個人的には大倉さんのDMC信者っぷりがおっかしくてたまりませんでした。
まぁ、どこを見てもおもろいですね。

でも、手離しで100点満点ってわけでもなくて。
原作に忠実なんだけど、ここまでやるならもっとアク強くてもよかったんじゃん? っていう贅沢な消化不良感が多少あるっちゃあるんですよねぇ。
元が漫画だし、もっと阿呆な演出でスピード感出すべきとこは出してもよかったと思うし、お遊びといっても(といったら失礼かもですが)やはりライブのシーンはもっとデスメタルならではの迫力が欲しかったかも、とは思います。
役者さんがぶちきれた演技をしていても妙に中だるみ感のある映像になってる箇所がいくつかあって、そこは残念かな。

とはいっても、この作品を見たらクラウザーさんを好きになること間違いなしです(笑)
さて、根岸くんは素の自分とクラウザーU世としての自分のギャップによる戸惑いをどう克服して受け入れていくのか。
それは実際に見て確かめてみてくださいませ。
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ハンコック

2008/09/06 12:55
監督:ピーター・バーグ
出演:ウィル・スミス シャーリーズ・セロン
時間:92分
2008年作品 「公式サイト」

自分が何者なのか、どうして注射針も鉄砲も刃物もものともしない肉体を持っているのか、何もわからないまま生きてきたハンコック。
彼にとっては普通だったりしても周囲の人から見たら異端で仕方ない。
気がついたらハンコックはヒーローであるにもかかわらず嫌われ者。
何故って。
ハンコックは力の加減を知らない。
悪党を追い詰めてもそこに辿り着くまでの器物破損の多いこと。
浜辺に打ち上げられたかわいそうな鯨も海に投げて帰してやったつもりが沖のヨットにぶつかって大惨事。
いいことしてる筈なのに結局迷惑がられるという……。
そこで力の加減をしなきゃいけないことに気づけばいいのに、
「俺は俺だろうが。文句あんのか、おらあっっ!!」的なぶちきれ方をしてすっかりグレたヒーローになってしまってるのがハンコックなんです。

そんなハンコックもひょんなことから知り合ったレイの存在によってほんまもんのヒーローに生まれ変わるのですが、実はハンコックにはもひとつ秘密があってね……というストーリー。

アクションものというよりも、多くの人からそのままの自分を受け入れてもらう方法がわからなくて荒れてる子供ってこういう感じなんだろなぁって思いました。
ものすごい疎外感や孤独感が募ってだんだんとすねていってしまって。
だからレイが「こういうところをこう直したら君はもっと皆から愛されるよ」と教えてくれることがとても新鮮で、刑務所での仲間との語らいが更に理解者という存在の大切さや受け入れてもらうまでのしんどさや大切さをわかるっていう、なんというか、問題児の更生を描いていった作品のようで見ていて面白かったです。
ハンコック、不器用で純粋なんですよね。

後半についてはハンコックの生い立ちが明らかになっていく話なんですが、これは「おまけ」として見ていただいてもいいかなって思います。
個人的には前半のお話をもっと膨らませてひとつの作品にした方がおもろかったんではないかなぁ、と思ってるんで。
とりあえず、なんとなーく2部構成、ということで。
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ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌

2008/08/19 15:30
監督:本木 克英
出演:ウエンツ瑛士 北乃 きい
時間:115分
2008年作品 「公式サイト」

昨年に引き続き続編として公開された実写版の鬼太郎。
主要キャストもそのまま続投です。

今回は濡れ女の悲恋にスポットを当て、その心につけこんだぬらりひょんの陰謀に立ち向かう、みたいな話になっております。

さて。
前作より何が変わったってマニアック度が大幅に変わったような気がします。
しょっぱなから鬼太郎誕生のエピソードと共にオープニングですよ。
うおぉ、墓場鬼太郎ですよ!!
本でしか読んだことなかったシーンを再現していただくと嬉しいもんですね。
そしてやはり本でよく見かけていた義眼を入れる鬼太郎。
ていうか、髪で隠れた義眼の部分には目玉の親父が入ってることもあるって鬼太郎百科に載ってたような。いや、小学生時代の記憶なので曖昧ですが。
そして濡れ女のエピソードに出てくる退魔の一族の設定。
いやにマニアック度が増してると思ったらその一族の長があの京極 夏彦さん(大笑)
もうなんていうか、それがわかった時点で大うけでした。
そりゃマニアックだわな、この人が関与してるんじゃ。

キャストも超豪華!!
主要キャストは前作と同じだから置いといて。
あ、でもそれぞれのキャラの魅力が十二分に発揮されていて見ていて非常に楽しかったです。
猫娘が特に好きですvvv
鬼太郎ファミリー万歳!!
今回のゲストキャラで特に圧巻だったのは佐野 史郎さん。
彼が演じたのは蛇骨婆。女性なんですよ。にもかかわらず完璧に演じきっていらっしゃいました。破綻がどこにもない。
それだけでもう度肝でした。
で、ですよ。
この作品中で私が最も大爆笑しそうになったシーンが砂かけ婆VS蛇骨婆。
私の大好きな俳優さんである室井さんと佐野さんの妖怪婆対決っっ!!
これがツボに入らずにいらりょうかってなくらいに大うけでした。
その割に白熱した対決が中途半端に終了してしまったので「ちっ」とか思ってしまいましたが。もっと見たかったですよ、この2人の直接対決。

残念なのは脚本の甘さとクライマックス近くでの演出の粗1箇所。
演出の粗はぬらりひょんの扱い。
最後にあれでお払い箱ってのは……ちょっと、ねぇ。あまりにもあっけないというか、それじゃわざわざ緒方さんをキャスティングした旨みがどこにもないではないかっ。もったいない!!
あとは鬼太郎シリーズ最大のテーマであろうとも思われる「人間とはそれでも守るべきもの」という言葉が青臭いままで終わってしまっているのがこれまた非常にもったいない。
おかげでラストが締まらないし、濡れ女は幸せになったようだが「それはそれ、これはこれ」という感覚が拭えず、ですね。
まぁ、ぶっちゃけ説得力にちょっと欠けてた部分があったことは否めないという感じです。
そんな大仰なテーマ掲げるくらいならもっとわかりやすく噛み砕きやすい簡単なテーマから扱っていった方が結果的にレベルアップを図れるんじゃないかという気がしております。

主題歌は歌ってるのが男性なのか女性なのか、魂を揺さぶる歌い方をする人やなーと思ったら中村 中さんでした。
あー、納得。
ものすごい惹かれてたんですよ、この歌声に。
実はこの主題歌の存在感に惹かれたから映画を見に行ったんですよ。
意外に出来が良かったので概ね満足です。ラストに向かい始めたあたりから多少消化不良ですけどね。
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サン・ジャックへの道

2008/08/19 14:35
監督:コリーヌ・セロー
出演:アルチュス・ドゥ・パンゲルン ジャン=ピエール・ダルッサン
時間:112分
2005年作品

ある兄妹の元へ届く訃報の手紙。
多くの遺産を残して母親が他界した。
兄妹は3人。
やり手の社長でありながらアル中の妻を持ち、精神安定剤が手放せない長男。
高校で国語を教えている夫が失業中の長女。
バツイチで酒びたりでだらしない、失業真っ只中の末っ子次男。
この3人、とにかくべらぼうに仲が悪い。
母親の遺言には「キリスト教の聖地サンティアゴへの巡礼に3人で行けば遺産をくれてやる」と書いてある。
さぁ、行く行かないっ?!

というところから始まるこの物語。
のっけからものすごくテンポがよく、選曲も演出も台詞もとにかくセンスがいい。
わざと笑わせる仕掛けがあるんじゃなくて、普通の仕草や会話や何気ないやりとりの中に笑いをものすごく器用に織り交ぜてあるのだ。
そういう意味ではこの監督、相当のやり手と見ました。
本当に上手いです。

フランスからスペインにある聖地・サンティアゴに向かうメンバーは合計9人。
案内人の男性。
卒業旅行にやってきた少女2人組。
アラーの巡礼と勘違いして病床の親からお金を借りて参加したアラブ人の少年2人。
旦那と離婚したのをきっかけに巡礼の旅に参加したスキンヘッドの女性。
そして仲が最悪に悪い3兄妹。
このクセのある9人が1500キロをなんと徒歩で移動して巡礼していく姿を描いている映画なんです。
それぞれが抱え持っている悩みや問題、それぞれの人間関係の変化が旅を続けていくうちにどんどん変容していきます。
この9人が抱え持っているものというのはフランスで抱えられている問題ともリンクしているそうで。
失業者問題であるとか、宗教的差別であるとか、薬物依存(精神安定剤のですよ)とか、そういう皮肉や問題提起という側面もあるのかもしれません。

ばらばらで寄せ集めのようでしかなかった9人は聖地に近づくにつれて連帯感が増していき、本当に家族のような繋がりを持ち始めます。
ラストでそれぞれのその後を確かめると本当に心から至福な気分に満たされます。

フランス映画ならではの緩さ、風景の美しさ、素朴さ、優しさが味わえる上に人の優しさに触れることができる作品です。
ちょっと一休みしてのんびりした映画が見たいという時にはオススメです。
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告発のとき

2008/08/19 14:05
監督:ポール・ハギス
出演:トミー・リー・ジョーンズ シャーリーズ・セロン
時間:121分
2008年作品

宇宙人ジョーンズさん、いやいや、トミー・リー・ジョーンズ主演の作品。
タイトルに騙されそうですが、これ、たぶん反戦映画の括りに入ると思われます。
米軍のイラク派遣の時の話で2003年に実際にあった事件がベースになっているそうです。

イラクから帰還した筈の息子が帰ってこない。軍の寮にも戻ってない。
行方不明。
手掛かりは息子のいた寮の部屋の引き出しにあった携帯。
熱ですっかり画像やデータが壊れまくっていたのを知人に頼んで修正復活した画像をパソに次々送ってもらいながら真相に近づいていく。
その矢先、息子の死体発見。
その殺され方は残忍極まりなく。
ナイフで40箇所以上刺され、切断された後に火をつけられて焼かれ、ただれた肉片を空き地にばらまかれていた。
犯人は誰で何の目的でこんなことになったのか。
それを知ることで「戦争が生み出す狂気のなれの果て」が形を現していく。

随分前から退役軍人の心のケア云々は問題になってましたよね。
PTSDになってしまって、ちょっとした物音にも怯えたり過剰に反応して力ずくで相手を動けないようにしてしまったり。
それは殺人であったりもするし傷害であったりもする。
戦場という場所はそれほどまでに人の心を蝕み情を奪い精神を破壊するわけです。

作中では帰還兵の夫が手を噛んだ飼い犬をバスタブに沈めて殺してしまったと警察に相談にやってくる女性が出てくる。
「犬が相手じゃ事件として対処できない」と追い返された女性は数日後、その夫に犬と同じようなやり方でバスタブに沈められて殺される。
夫婦喧嘩をしたのか何が原因だったのかはわからない。
だが確実に日常的に夫の周囲を狂気が覆っていたのは事実なのだ。
ラストでは息子を惨殺した犯人もこう言う。
「俺たちが喧嘩すれば誰がああなってもおかしくないのだ。違う日であったなら殺されていたのは俺だったかもしれないのだから」
これは米軍が抱える大きな闇への問題提起である。

携帯電話の画像には息子の父へのメッセージが残されている。
「イラクでは子供も手榴弾を持っているかもしれないから女も子供も容赦なく殺さなければならないんだって」
だから車の前に飛び出した子供をスピードを上げて撥ねて殺した。
傷を負ったイラク兵の傷口をわざと広げて絶叫を聞いて楽しむ。
どんどん麻痺していく感覚。
イラク人にとっての米兵は鬼畜に見えることだろう。

そう。
戦争なんて、争いなんて、人を狂気に導くだけでそこに正義などありはしないのだ。
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崖の上のポニョ

2008/08/19 13:31
監督:宮崎 駿
出演:奈良 柚莉愛 土井 洋輝
時間:101分
2008年作品 「公式サイト」

前作『ハウルの動く城』以来4年ぶりの宮崎 駿監督作品。
舞台は海沿いの町。
モデルとなった町は広島県福山市にある潮待ちの港・鞆の浦です(実はうちの地元)

思えば宮崎監督作品で海の自然に触れた作品って初めてかもしれません。
「ナウシカ」も「もののけ姫」も「となりのトトロ」も山とか森とか谷とかですもんね。

というわけで海が舞台の物語なんですが。
全て手描きというのはここまで美しいものかとアニメーションの素晴らしさに惚れ惚れとしてしまいました。
スクリーンかテレビかでいえば、映像は間違いなくスクリーンの大画面で見ることをオススメいたします。
細部まで見てください。本当にきれい。
さすがはアニメ界の東大といわれるスタジオジブリ。最高のフィルムです。

さて。
舞台になった港町については個人的に非常に主観の入った見方をしてしまいましたので普通はどう感じるものなのかわかりません。
忠実に地元の風景を再現されていたので切なくて泣けてきてしまいました。
実はこの舞台のモデルになった鞆の浦には架橋計画なる馬鹿げた計画が遂行中なんです。
自然の景観も環境も利便と金儲けの為に潰されていくわけです。
住民運動も起こっていますが発端から20年経った今もまだ争っています。
作品を見ていただいたらわかると思いますが、鞆の町の道は本当にあれくらい狭いです。
車がすれ違うのもぎりぎり。大型車なんかは本当に通れないこともある。下水も整備されてない。浄化槽の取り付けをお願いしてもどうしてかまだ整備が進んでいない。
ただ、江戸時代の港町が原型を留めて残っている貴重な場所だということは事実で、近代化の手が伸びていないことがこの町の良さだったんですよ。
建物も海沿いの道路も船着場も倉庫も坂道も全部見知ったものばかり。
いつかは永久にこの景色が失われるのだろうと思うと情けなくて涙が止まりませんでした。
利便と引き換えにうちの地元はこの美しさを明け渡すのでしょう。

ストーリーにつきましては。
う〜ん、微妙。というところでしょうか。
「子供向け」に作られた作品ということはわかるのですが、話が大きくなりそうでならず、伏線が張ってあるようで説明不足なままラストになってしまっている。
ポニョたちの存在についてもポニョの両親についても、世界の危機がどういう経緯で迫ってくるに至ってしまったのか等々。
あとは主人公たちを5歳児にしたのが失敗だったのかもしれません。
物事の選択を問う場合、5歳児だと思考を深く掘り下げてその意志に意味を持たせるということが難しかったのではないかと思うのですよ。
だから選択を迫った時、宗介はいとも簡単に答えを出す。
ていうか、その質問は今更愚問じゃないのかという質問だから余計に違和感を感じたんですよね。
まぁ、見てみてください。
とりあえず、子供向け作品では「となりのトトロ」を越える作品はまだないとは言えると思います。

声優陣については。
リサ役・山口 智子さんがダントツに上手い!!
どこの役者さんがされてるんだろうと思ったくらいちゃきちゃきで男勝りで可愛い面もあるおかんを演じられておりました。
そして子役は二人とも非常にこれまた上手い!!
最近の子役は演技達者ですねぇ。
子供特有の泣き方も台詞のやりとりもとてもナチュラルで、でもナチュラルすぎて棒読みというわけでもなく自然体の演技が本当に良かったと思います。
ジブリ作品については既存の声優を起用しない云々でイチャモンつける方も多いようですが、結局声優であろうがなかろうがきちんと役を演じられて作品を表現されてるんだから全く問題ないんです。
私は既存の声優の演技は基本的に好きな人が少ないのでほっとしてるくらいです。
アニメの全部を否定はしませんが、最近はファンを楽しませる為の見世物と化している作品が多く、そこへ投入されていく声優たちがどういう進化を遂げざるを得ないかと考えると明らかに舞台経験者でもない限りいい役者は育たないんです。
私がそれを危惧し始めたのが10年ちょっと前なんですが、宮崎作品に声優が使われなくなってきたのもそのへんからじゃないでしょうか。
役の掘り下げ、作品の世界観へのリアリティ、テーマやメッセージの重さへの理解度など考えると顔出しの俳優を起用したくなる気持ちはわからないでもないです。ええ。

というわけで、映像や美術についてはベタ褒め。ストーリーは微妙。というのが感想です。

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ぐるりのこと。

2008/08/12 14:39
監督:橋口 亮輔
出演:リリー・フランキー 木村 多江
時間:140分
2008年作品 「公式サイト」

ある30歳の男女。
男性は靴の修理のバイト。
女性は出版社で編集の仕事。
できちゃった婚をした二人の間にできたベイビーはお腹の中。
そんな男性の元へテレビ局で働いている知人が仕事を持ちかけにやってきた。
その仕事とは裁判の様子や犯人を描く法廷画家というお仕事。
男性はその誘いに迷いながらも押しの強さに断りきれず、靴の修理のバイトを辞めて法廷画家のお仕事を始める。

この夫婦の10年間を通して、夫婦同士の繋がり、親族との繋がり、法廷で展開される人間の生々しさや醜さ。
時に目を背けたいこともあり逃げたいこともある。
それをどうにかこうにか乗り越えて紡いでいく時間。

と書くと非常に暗いとかきついとかショッキングなシーンがあるのかしらと思われるかもしれませんが、それは全くございません。
むしろ淡々と語られていく感じです。
まず、夫婦の描き方がものすごいリアル。
冒頭あたりでの口論のシーンですっかりと引き込まれてしまいます。
「あー、言う言う」「そうそうそう」みたいな本当に滑稽で、でも当人同士は至って真面目に口論し合ってるあたり、笑いが込み上げてたまりません。
夫婦としてのいちばん大きな壁はやはりお腹の中にいた子供が生まれてすぐに死んだということでしょうか。
それをきっかけに奥さんは鬱への道をどんどんと辿っていくことになるのです。
旦那さんは旦那さんで日々の法廷でのお仕事にストレスを溜めつつ何とかかんとかやっているのですが。
この夫婦の壁を乗り越えていくシーンは本当に珠玉です。
二人の間にある壁というか隔たりのようなものが徐々に溶けて消えてなくなるまでが本当に丁寧に撮ってあって、久々に見えないものが見える表現というものを見た気がします。
旦那=リリーさんと奥さん=木村さんの演技の素晴らしさに思わず泣けてきます。

見どころはこの10年間における裁判の模様も一つとして挙げられます。
幼女誘拐殺人事件、地下鉄サリン事件、小学校児童無差別殺傷事件等々、実際にあった事件を彷彿とさせる事件がいくつも出てきて、犯罪者、被害者遺族、裁判官、弁護士とのやりとりが非常に生々しく、そしてえげつなく描かれていきます。
一般人だったら心がどんどん歪んでしまいそうな壊れてしまいそうなその空間。
法廷画家はそんな一つ一つを法廷内で描写していく仕事なのです。
よほど肝が据わってないとできるものではありません。
またある意味、法廷画家という仕事は犯罪史の移り変わりを見ていくことのできる仕事でもあるのだな、と感じさせられました。

2時間ちょいという長さですが、見終わった後はほっと和んだ気分になれる映画です。
是非一度、ハマったなら2度3度と足を運んで見ていただきたい映画です。
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山桜

2008/08/12 13:18
監督:篠原 哲雄
出演:田中 麗奈 東山 紀之
時間:99分
2008年作品 「公式サイト」

とある藩での物語。
とある侍が女性に一目惚れし、求婚するも話が流れてしまい、女性は別の侍の家へ嫁がれました。
がしかし、その家での女性の扱いは酷く、とても幸福とはいえません。
そんなある日、山桜の下で女性は以前求婚してくれた侍と初めて顔を合わせました。
「今、あなたは幸せですか?」と聞かれ「はい」としか答えられない女性。
そこから物語は始まります。

冒頭から最後まで一貫して言えることはとにかく映像が美しい。
清廉で凛としていて美しく繊細。
そして主人公である女性の着物がまたこだわりがあるのか非常によく考えて柄などを場面に印象的に合わせてある。
それだけでも充分素晴らしいのですが、物語自体も非常に美しく切なくて最後まで釘付けられます。

農民に多くの年貢を課して私服を肥やそうとしている藩の重臣は譜代大名の血筋。
とてもではないが政策に口を出すことはできず、出したとて力ずくで握りつぶされ、馬鹿な下級侍は媚びへつらうことでおこぼれをもらおうとしている。
あまりにも酷い政策の中、農民の中には飢えで死んでしまう者や田畑を手放してしまわざるをえない者まででてきてしまった。
さぁ、どうする?
こんな時、水戸黄門がいてくれたらさくっと解決してくれるわけですが、世の中そんなに甘くない。現実は厳しいもの。
誰かが行動しなければ取り返しのつかないことになる。
そこで彼のお侍さんは立ち上がりました。
農民の為、藩の為、剣術師範の腕前のあるその手で重臣を斬って血に染めてしまうのです。
お侍さんは牢獄に繋がれます。
彼の悪口を垂れた旦那に心底愛想が尽きた女性は喧嘩を売り、事実上離縁された身となって実家に舞い戻ります。
そしてお侍さんの家を訪ね、お沙汰を待ちます。

この作品では最後は語られません。
どのようなお沙汰が下ったのか、お侍さんがどうなったのか、わからないまま終わってしまいます。
それがよかったことなのか悪かったことなのかはわかりませんが、このお沙汰が難しいものであることは事実です。
お侍さんが重臣を斬ったことで多くの農民が救われ、政治もいい方向へと舵切られました。
が、彼が斬ったのはどんなに極悪な重臣であったのだとしても立場は譜代大名の血筋、大それたことをしたという事実もまた消せません。
本来なら切腹ものということだそうですが、政治が立て直されたという側面や農民の心情を思い量ると重い罪に問うには情状酌量の余地がある。
原作にももしかすると最後どうなったのかは語られていないのかもしれませんが、お侍さんの無事を祈らずにはいられません。

何度見てもいい作品だと思います。
惜しいな、と思ったのは主題歌の入れ方。
どうでもいいが歌に入っている語りの部分は省くべきだったなと思います。
そこに一青 窈は関係ないわけですから。
作品に沿ったナレーションにも代わり得るものなら敢えてあってもよかったと思いますが、早口でちゃらちゃらっと飾り程度に入れた付随ものならいらなかったと思ってます。
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アフタースクール

2008/08/12 12:46
監督:内田 けんじ
出演:大泉 洋 佐々木 蔵之介
時間:102分
2008年作品 「公式サイト」

冒頭、中学生の少女が同級生の少年にラブレターを渡し、その十数年後が物語の舞台。
サラリーマンらしき男性と臨月の女性が団地の一室で朝食を食べている。
彼らは間違いなくその中学生の時の二人が成長した姿なんですが。
この日常的な始まり方とは裏腹にお話は非常にサスペンス? ミステリー? とにかく先が読めないのです。

この2人には中学時代からの親友がおります。
この親友の元にある日、同級生だと名乗るチンピラ風の探偵さんが現れます。
その探偵さん、どうやら友達である例のサラリーマンを探してるのだとか。
折りしもそのサラリーマンは前日から臨月の奥さん放って行方不明。
最後に目撃された写真やビデオカメラには謎の女性とのツーショット。
事件のにおいがぷんぷんしますぜ。

という感じなんですが。
エグい場面は何一つなく、怖いヤクザもチンピラもどことなく愛嬌すらあったりなんかして。
サスペンスの割に非常にのほほんな雰囲気漂う作品ではあります。
ただね、種明かしの場面では「うわー」「うそやん」「へー」みたいな反応があそこにもここにもそこにもみたいな感じで。
いちばん最後のラストで中学時代の回想がもう一度入るのだけどここでまで最後の伏線が張ってあるという(笑)

本格サスペンスではないですし、癒され映画でもありません。
娯楽感覚でご覧になると非常に面白い映画だと思います。
キャストも演技達者さんばかりでオイシイですし(よく考えたら主役の男性3人は全員舞台出身者だ)
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スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師

2008/01/31 09:32
監督:ティム・バートン
出演:ジョニー・デップ ヘレナ・ボナム=カーター
時間:117分
2007年作品 「公式サイト」

語り継がれるイギリスの都市伝説!!
ミュージカルと出血グロテスクが苦手な方は回れ右!!
そんなお話です。

悪徳判事に美しい妻を無理矢理奪われ無実の罪で投獄された若き理髪師。
15年後、スウィーニー・トッドと名を変えてロンドンに帰ってきた理髪師は妻が毒をあおったこと、娘は悪徳判事の養女として幽閉されていることを聞き、理髪店の階下にあるパイ屋の女将と結託した猟奇殺人を繰り返しながら復讐の日を待つ。

というお話なんですが。
キャストはとにかくきれい。
ティム・バートンカラーのせいもあるんですが、生身の人間が演じているのにどこか人形っぽさというのか作り物らしい雰囲気が滲み出ていて、そのせいかカミソリで首を掻っ切るシーンもグロテスクなんですがホラーやスリラーではないんですねぇ。いや、直視はできなかったけどさ。
悪役二人がハリポタのスネイプ先生とネズミさん(ピーターな)だったのはかなりウケました(笑)

歌はくどいほどに各所にございます。つーか、台詞部分はほっとんどありません。
なのでミュージカルが嫌いな方はOPでドン引きされるんではないかとちょっと思ってます。
私でさえちょっと引きそうになったんで(慣れたけど)

ストーリーの鍵は素性のわからないあるキャラクター。
こいつの正体に気づいたらとんだ悲劇の始まりです。
ただの猟奇殺人復讐劇から後半はいくつもの愛憎が入り乱れた恐ろしい展開へ。
ラストは因果応報、そしていちばんしっくりくるそれなりに幸福な終わり方、なのかもしれません。
救いのないお話ではあるし、観た後は一時的に挽き肉料理が食えなくなることもあるかもしれませんが、妙な麻薬要素があるのはやはり映像美のせいなんでしょうねぇ。
何回見ても飽きなさそうと思うのはティム・バートン作品ファンだからなんでしょうか。今回は毛色が全く違う作品ですけどね(ファンタジー要素はほぼなし)

個人的に子役の男の子(どっかで見たことあると思うんですが違うんかなぁ?)とパイ屋の女将(ティム・バートン夫人らしい。うへぇ)がお気に入りでしたvvv
ていうか、女将見てると濱田マリさんを思い出す(笑)
絶対似てる!!
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魍魎の匣

2008/01/05 10:52
監督:原田 眞人
出演:堤 真一 阿部 寛
時間:133分
2007年作品 「公式サイト」

京極堂シリーズ最高傑作ともいわれている「魍魎の匣」が遂に映画化っっ!!

前作と比べながら見る方も今回が初めてという方も楽しめる作品となっております。
ただ、原作を読んでないと混乱する可能性もあるので予備知識は入れておいた方が安心して楽しめると思います。
やはり、京極堂シリーズを映像化するのって脚本起こしの時点で大変なんだなって思いますね。
今回の映画前半部はその試行錯誤がえらい表れていたと思います。
例えば人物紹介の如く「○○とXXと△△」みたいな感じでタイトルをつけて登場人物を登場させたり、京極小説でよく使われる「その3時間前」とか違う登場人物から見た同時刻の事件であるとかの見せ方とか。
最初は微妙に鼻につくんですが(いっそ、脚本に起こす時点で時間関係とか整理してストレートにいっちゃえばいいのに、と思ったくらい)慣れてしまえばまぁいいのかな? みたいな感じです。
まぁやっぱり難しいんですよ、映像化っていうのは。
あの分厚さを破綻させずにきれいにおさめた時点で原田マジックを褒め称えるべきだと思います。

雰囲気は前作に比べると乱歩ちっくになってます。
あれ、たぶん上海でロケしたせいなんでしょうね。
昭和28年代の街並みということだったんですが、やっぱり異国情緒が消しきれない部分はありますよね。
そこに違和感を感じなければ、不可思議なミステリーという形で映像美に魅せられること請け合いです。
雰囲気と作品の描き方だけを見たら完全にこちらの勝ちです。前作とは比べものにならん。
但し、京極堂の店構えであったりとか、眩暈坂だったりとか、そのあたりの原作への忠実さは前作の方が上ですね。
で、関口はどちらがよかったかというと……原作に忠実にいくなら前作の勝ちかな?
このへんは意見の分かれるところだと思います。

個人的に見どころは京極堂VS寺田 兵衛!!
ここで京極堂の陰陽師らしい迫力がそらもう素敵に堪能できます!!
禹歩(うほ)っていう陰陽道独自のステップを実際にスクリーンで見ることができるんですよ。
基本、北斗七星を象るとかなんとかいろいろあるんですが、陰陽道&道教ヲタとしてはそらもう有頂天でした。
素敵すぎるっっ!!

こだわりやとしては今回非常に満足しております。
京極堂シリーズが大好きな方、是非どうぞ。
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ナショナル・トレジャー 〜リンカーン暗殺者の日記〜

2008/01/05 10:26
監督:ジョン・タートルトーブ
出演:ニコラス・ケイジ ジョン・ヴォイト
時間:124分
2007年作品 「公式サイト」

2004年に公開された「ナショナル・トレジャー」の第2弾。
今回はリンカーン暗殺者のメモから紐解かれる財宝の在り処を巡ってスピード感溢れる頭脳戦が繰り広げられます!!

前作とは切り離されたお話になっていますので、こちらを先に観てから第1弾を観ても全然問題ないと思われます。
後半のスピード感に比べると前半は謎解きのピース集めなので、アクション大好きという方には多少緩く思えてしまうかもしれませんが、推理や謎解きが純粋に好きな方はこの高度な謎解きの面白さにハマること請け合いです。
トレジャー・ハンターって面白いです、いやほんとに。
謎の言葉の散りばめられ方とかあらゆる仕掛けとか、冒険心をかなりくすぐられます。

この作品のもうひとつの魅力は主要登場人物の魅力ですね。
ニコラス・ケイジ演じるベン・ゲイツもかっこいいですし(ていうか、ニコラス・ケイジほど作品ごとに違うイメージで登場する役者っていない気がする)助手の青年、彼女らしい女性などなど、会話を聞いているだけでも相当面白い。
特にお気に入りはベン・ゲイツの両親。
完全に仲違いしていて顔を合わせればツンケン、もう何年も口をきいてないくらいのがたがたの関係なんですが、端々に夫婦特有の信頼関係が見えるんですよね。なんか2人とも相当可愛いです。
この2人の夫婦漫才がもっと観てみたい。ふふり。

ラストはちっと不満が残る感じだったんですが。
いちばん不満なのは大統領だけが見られるという本の47ページに何が書いてあったのかということ。
どっかで見落としているだけなのかもしれないんですが、結局最後までわかりませんでした。
どなたか教えてくださるとありがたいです(苦笑)
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ALWAYS 続・三丁目の夕日

2007/11/14 23:06
監督:山崎 貴
出演:吉岡 秀隆 堤 真一
時間:146分
2007年作品 「公式サイト」


夕日町三丁目に住む彼らが帰ってきた!!
待望の続編です。

今回は前作から4ヵ月後という設定でお話が始まります。
しょっぱな、いきなりのゴジラ襲来で笑わせてくれますが、ええ、今回もちゃんと人情味溢れる古き良き時代の人々の何気ない日常が描かれております。
前作と違うところといえば、今回は大人たちのエピソードが多いということ。
戦争で戦友を失ったお父ちゃん、やはり戦争で恋人と添い遂げられず町で偶然再会してしまうお母ちゃん。
あの時代のお父さんお母さん世代って大なり小なり戦争で狂ってしまった時間軸ってのを持ってたんじゃないかって思う。
そういうところにも今回はスポットが当たってますよ。
あとは六ちゃんのエピソードも何気に光っておりますね。
子供たちの時間軸でいえば、突然一緒に住むハメになってしまうハトコの女の子。
かなりひねたお嬢ちゃんなんですが、彼女の日々の心の変化も見どころではないかと。
あとは主軸である茶川とヒロミさんと淳之介くんの3人がこれからどうなっていくのかということ。
ラストの展開はね、ちょっと都合よすぎんかい? というか辻褄としてちょっと首をかしげる部分もありましたが、そこに目を瞑りさえすれば間違いなく秀作です。

この作品、年配さんの反応が物語ってますよね。
素直に笑って感動して泣いてるっていう。そういう時代の物語なんです。
以前、記者会見で「前作と比べてどうですか?」という質問をキャストに投げかけていましたが、そいつぁ愚問ですね。
だって比べようがないんだもん。
あの前作の時間軸がそのまんま「次の日」くらいのまんまで繋がってるんですから。
あれがスクリーンの中の彼らの生きてる日常なんです。
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クワイエットルームへようこそ

2007/11/14 17:02
監督:松尾 スズキ
出演:内田 有紀 宮藤 官九郎
時間:118分
2007年作品 「公式サイト」

ある日、何故か睡眠薬と酒を一緒に飲んで精神病院の隔離病棟に入れられたお嬢さんの見た異常な世界の話。

異常な世界とは精神病院の中と患者とナースたち。そして逃げたかった現実。

普通に仕事してた筈のライターのねーちゃんが不思議な演出から気がついたら精神病棟のクワイエットルーム(精神を刺激しないように四方天井床全部が真っ白い壁で囲まれた閉鎖部屋)にいたところから物語が始まるわけですが。
実際に取材に行ったわけではなく、元患者などの証言などを元にして作り上げられたんだそうですね、あれ。
なので、概ね精神病棟はああいう描写で合ってます。
この映画で何をわかれと言えばいいのか非常に悩みますが。
睡眠薬自殺ってこういう感じというのはきちんと描かれてますし、全体的にライトに描かれてるのでトラウマを刺激する要素はそんなに多くなく普通に見ることができますね。

患者たちの中にあるオチを楽しむのがいちばんいいんだと思います。
まともそうに見えても思想が違う方向に行ってしまっているが為に正常な世界に戻れないとか、普通に退院していった知的ノーマルな女性が再度自殺未遂で運ばれてくるというラストでの皮肉とか。
この物語に答えはたぶんないんです。
それぞれで見つけるべき。
感動する為の映画ではないし、笑う為の映画でもありません。
人間のとある側面を覗いてそのまま描いてみた映画、という言い方がいちばんしっくりするかもしれません。
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HERO

2007/11/14 16:36
監督: 鈴木 雅之
出演: 木村 拓哉 松 たか子
時間:130分
2007年作品 「公式サイト」

ドラマ版は観たことなかったのですが、前知識がなくても十分楽しめる作品となっております。
何と言ってもキャストが個性的で面白すぎます(笑)
そしてシメるとこはきっちりシメるチームワークのよさがいいですね。
法廷シーンでの「これは命の重さを決める為の裁判です」という台詞が今回のテーマ。
どんなに大きな事件でもどんなに小さな事件でも人が死ぬ、殺されるという背景にどれだけの人間の人生が刻まれているかということ。
被害者遺族がどんな思いでいるかとか、殺された人がどれだけ慎ましやかに生きていたかとか、衝動的に殺すということの罪深さをライトに問いかけてくれる作品となっております。

ドラマ本編とスペシャルのキャストもちまっと登場したりしますので、とりあえず余裕があるなら予習をしてから観るとよりベターです。
そうしますと登場人物が細部までわかりますし、ラストのハッピーエンドにもより思い入れが出てくるかもしれません。

娯楽エンタテイメントとしてお楽しみいただければ。
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夕凪の街 桜の国

2007/08/06 17:17
監督:佐々部 清
出演:田中 麗奈 麻生 久美子
時間:118分
2007年作品 「公式サイト」

8.6 ヒロシマ原爆を題材にした物語。
今までと違うのは昭和20年8月6日を迎えて終わるのではなく、昭和20年8月6日から始まるということ。
厳密に言うと13年後。
戦争の傷痕も徐々に薄らいできたと思われる昭和33年が最初の舞台です。
ここでは原爆のトラウマを抱えながら生きる一人の女性がクローズアップされて描かれます。
自分はたまたま倉庫に荷物を取りに行っていて、同級生の殆どが運動場で死んだ中、ほとんど無傷(腕にケロイド程度)で済んでしまった。
妹も大火傷で、見つけて背負って帰る途中、自分の背中で息を引き取った。
父親は骨も見つからなかった。
母親は助かったもののひどい火傷で目も潰れている有様だった。
地獄を目に焼きつけ、耳に救いを求める声を残したままで、歩く度に瓦礫と死体の感触を覚え、自分が生き残った負い目を常に感じながら生きる日々。
そして、やっと幸福を受け容れられるところまで来た時に原爆症であっという間に亡くなってしまう。
死ぬ前に遺す言葉は軽やかなのにとても言葉が重くのしかかります。

原爆の爪痕は昭和33年を過ぎてもまだ続きます。
被爆者と結婚してできた子供は被爆二世と言われます。
今度はその被爆二世の女性の話に移ります。
父と母が結婚するに至るまでにどれだけの葛藤があったか、それと同じ葛藤を現在弟が味わっているという事実、そして自分もいつ遺伝で原爆症が表に出るのかという不安と戦わなきゃならない不安。
入市被爆のせいで放射能は患者と一緒にいるだけで伝染るという偏見が生まれたり、被爆者は短命だからとか遺伝で子供に影響が出るからと、恋愛や結婚では随分と差別もあったらしく。
原爆の死の連鎖はどこまでもどこまでも延々と続いていくのだ。

違う切り口で見た原爆の映画、めちゃくちゃ泣きました。
悲惨なシーンはどこにもないのですが、心にがつんと来て、ラストまで見ると声をあげて泣きたい感覚に襲われます。
ヒロシマの描き方もめちゃくちゃ丁寧でした。
広島弁を大切に役者さんたちが口にしてくれたことが何よりもリアルを与え、映画を本物にしてくれたのだと思います。

8.6を学ぶには最良の映画です。是非是非ご覧になってくださいませ。
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ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団

2007/08/02 09:43
監督:デヴィッド・イェーツ
出演:ダニエル・ラドクリフ  ルパート・グリント
時間:138分
2007年作品 「公式サイト」

ハリー・ポッターシリーズもとうとう5作目。
子供たちもすっかりと大きくなって立派に思春期の少年少女。
初期とは違う雰囲気、子供らしさよりも宿命に立ち向かっていくシリアスさがより濃くなったのではないでしょか。

いやぁ、しょっぱなから演出が怖い(笑)
吸魂鬼に襲われるシーンはホラー映画のようで一瞬入る映画館間違えたのかと思いました(笑)
原作のストーリーをだいぶ忘れてたんですが、まぁ忘れてても大丈夫だったところを見るとなかなか押さえるところは押さえてたんではないかと思ってます。
なんというか、原作の暗さが相当にえげつなかったぶん、ソフトに仕上げてくれてありがとうと言いたいくらいです。
ハリーのひねっぷりがあれだけで済んでたのは奇蹟に近いですよ。
原作どおりだったらめっちゃ嫌な奴ですもん、前半が。
で、アンブリッジ先生はものごっつい原作どおりで相当ウケました。
うわー、ハマりすぎです。あの甲高い笑い声とか、あの方マジすげぇ(笑)
変人ルーナもぴったりでしたねぇvvv
なんか千秋っぽかった(笑)口調もどこかぼーっとしてて可愛いvvv

ラストの描き方は私的にはよかったんでないかと思ってます。
これも原作よりは相当ソフトな戦闘シーンになってましたね。
ネビルとか、特にロンも原作ではかなりずたぼろにされちゃうんで(ロンの骨折シーンがなくてよかったと思ってる過保護な私……)
ヴォルデモートとダンブルドアの戦いを引き立たせる為のお膳立てだった可能性もありますが。
別に違和感とか憤りはなかったんですが、余裕あらばシリウスとの信頼関係と別れをも少し強調してもよかったかなぁ、という感覚も多少あります。
ものすごーいさりげなさすぎな一瞬と最期だったんで。

原作付の映画でこれだけの出来なら上等だと思います。うん。
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ダイ・ハード4.0

2007/07/04 23:05
監督:レン・ワイズマン
出演:ブルース・ウィリス ジャスティン・ロング
時間:129分
2007年作品 「公式サイト」

高層ビル、飛行場、ニューヨークと来たら次はアメリカ全土だぜっ!!べいべーっっ!!

ということで、12年ぶりとなる第4の敵はサイバーテロ。
交通網、電気ガス水道、コンピューター、あらゆる機関がハッキングされて全米大混乱。
ハッカーの青年を連れて行けばよかっただけの筈が、何故か今回も命狙われてます、ジョン・マクラーレンっっ!!
今回も相当ツイてないのに悪運はやっぱり最強!!
そりゃもう何でもありの痛快アクション!!
細かい突っ込みは野暮ってもんです。
ジェットコースターのようなスピードアクションとサイバー頭脳戦を一気に楽しんでいただければ気分は爽快ですvvv

51歳のマクラーレン刑事はなんと奥さんと離婚しちゃってるわ、娘には邪険にされるわで私生活も相当ツイてない。
だけど、やっぱり身内の為に身体張っちゃうんですよねぇ。
あの年齢であのド派手なアクションはブルース・ウィリス健在の証ですね。
もうとにかくすげぇ。
そして娘のじゃじゃ馬っぷりに乾杯♪
どっちに似たのか詮索したらおもろそうな予感満載ですが、さすがマクラーレンの娘、敵に捕まってもただでは起きないツワモノです。

アクション映画としては異例(?)の長さですが、たるみの時間は全くなし。
スリルを楽しみたい方は観て損はなしっっ!!
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パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド

2007/06/04 10:53
監督:ゴア・ヴァービンスキー
出演:ジョニー・デップ オーランド・ブルーム
時間:170分
2007年作品 「公式サイト」

パイレーツ・オブ・カリビアンシリーズ最終作!!
前作からのメンバーに新しい登場人物も加わり、どうなるかわからないぜ、どう展開するんだこの物語っっ?!

てなとこですが。
感想としては「残念無念また明日」という感じです。
登場人物は相変わらずおもろいんですよ。
ジャック・スパロウは相変わらずだし、ウィルは苦労人だし、エリザベスは更にじゃじゃ馬度が増してるし。
新キャラの海賊たちや初登場のジャック・スパロウの父ちゃんも一癖も二癖もありながらかっこいい。
でも、ラスボスとの戦闘がどうし・て・も、迫力に欠けてる上に説得力がなく、結果としてあれだけ壮大なスケールで描いた冒険活劇がぷしゅるるるるぅとしぼんでしまったわけですよ。
いやもう、本当に残念です。

敗因はラスボスを2つ作ってしまったことでしょうね。
東インド会社とデイビィ・ジョーンズ。
おかげで2から3にかけて話を無駄に長くさせてしまうことになり。
これねぇ、中だるみと無駄があるとすれば東インド会社のエピソードだと思うのですよ。
だって本筋とほぼ関係ないし。
削っても違和感ないと思いません?
デイビィ・ジョーンズと今回出てきたカリプソとの関係に焦点を当てていけばもっとシンプルでしかも最後までおもろく楽しめる作品になったと思うのですが。
何故ラスボスを2つ用意する必要があったのか、そっちの方が私には疑問です。

でも見どころもたくさんあるのですよ♪
ラスボス戦はあっけないですが、今回は戦闘シーンが際立ってかっこいいです。
あと、ワンシーンだけデイビィ・ジョーンズの素顔が見られるシーンがありまして。
おじさま大好きの僕のハートは一気に鷲掴みでしたvvv
それと……海の墓場におけるあっちにもこっちにもジャック・スパロウのシーンは不気味ながら面白いかも(笑)
お気に入りのシーンはエリザベスの号令でそれぞれの海賊たちが旗を掲げるシーン!!
旗をバックに構えたそれぞれのキャプテンがめちゃくちゃかっこいいんですよ!!
これの前のシーンの海賊会議で相当な馬鹿っぷりを披露されてたぶん、かっこよさが引き立って素敵でした!!
「これぞパイレーツっっ!!」と言える冒険活劇のわくわく感を一気に頂点まで持っていってくれます!!

ちなみにこれ、EDクレジットの後に10年後が描かれております。
まぁ、興味がありましたら最後までご堪能下さいにゃ(笑)
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俺は、君のためにこそ死ににいく

2007/05/31 00:25
監督:新城 卓
出演: 岸 惠子 徳重 聡
時間:140分
2007年作品 「公式サイト」

製作総指揮は石原 慎太郎氏。
慎ちゃん節炸裂の超硬派でありながらしっかりしたリアル感のある作品です。

知覧飛行場。
空軍として訓練を受けていた若者を特攻隊とし「日本は屈せず」のスケープゴートに利用しようとした軍上層部。
物語は戦時中の特攻第1号が生まれるところから始まる。
上手い飛行機乗りに特攻させて特攻の成果の手本を示せば後がついてくるという算段だ。
ということで、この特攻から日本は意地になっているかの如く若者をどんどん呆れるくらいに死地へ旅立たせることになる。
それを特攻隊員の若者たちと交流の深かった鳥濱 トメさんの視点からスポットを当てながら隊員たちの様々な姿や生き様が描かれていく。

現在、知覧の資料館に展示してある遺書。
あれがどれくらいトメさんや挺身隊・学徒のお嬢さん方に守られながら運ばれたものであるか、特攻隊の彼らがどのような覚悟で、どのような思いを抱えながら死地へ赴いて行ったのか、生き残った元特攻隊員の方々がどれだけの苦悩を抱えて生きたのか、そういうことが歴史的な事実として淡々と語られていきます。
世界大戦当時の映像がドキュメンタリーのように使用されている場面もあり、かなり史実とトメさんの見てきた真実に忠実に作ってあるようです。

どちらかというとクリント・イーストウッド監督の「硫黄島〜」と視点的には似てるかも。
戦争の愚かしさと意味のなさを存分に物語っている。
トメさんのお話を元に構成したということからか、記憶の断片がいろいろあるような作りになっていて人によっては話についていきにくい方もいらっさるかもしれませんが、内容としては良作だと思っています。
これ、タイトルに騙されちゃうんだと思うんですよねぇ。
死を美化なんて全然微塵もしてないですから。自己犠牲の押しつけも一切ないし。
B’zの歌ってる主題歌(「永遠の翼」という曲です)から歌詞を引用してつければいいのになぁ、なんてちょこっと思ったんですが、どうでしょう?
アンチ慎ちゃんとか、そういう先入観を持たずにきちんと作品として見られる方はどうぞ♪
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